満員電車の中でのおもてなし


朝の満員電車の中での出来事です。
車内はギュウギュウに混み合っており、つり革につかまりながら必死に立っていました。
後ろにも人が溢れ、座席に座っているひとにぶつからないよう必死でした。


私の横に背の低い女性が同じように立っており、
彼女は大きなカバンを抱え、前に座っている男性にぶつからないよう、つり革につかまっていました。


後ろから押され、窓に手をつきながらやっと立っている彼女に
「お荷物を網棚にあげましょうか?」
と声をかけました。
私はある程度背があるため、

彼女よりもスムーズに網棚に荷物を上げられるのではないかと思ったからです。


すると彼女は
「ありがとうございます。ですがカバンにたくさんの荷物が入っており、網棚に置いたらカバンから荷物が出て、皆さんにご迷惑をおかけするかもしれないので、大丈夫です。」


と言いました。


重そうな荷物を必死に抱え、立っていることもままならない状態なのに、周囲への気づかいを優先されていることに心を打たれました。

すると私たちの会話を聞いていた、彼女の前に座っている男性が、


「私の膝の上に荷物を置いてください」

と言いました。


彼女は嬉しそうにお礼を言い、

「ありがとうございます。でも、あと少しですし、申し訳ないので」とカバンを抱え続けました。終点の駅、彼女は私と男性に笑顔で会釈をし、電車を降りて行きました。


私たち3人にしか聞こえない、小さな声でのやりとりでした。
ですがその空間が、なんとも嬉しく、温かい時間を感じることができました。


私は、朝の満員電車や整列乗車が、こんなにトラブルが少なく成り立つのは、日本だからこそなのではないかと思っています。
相手のことを考え、思いやり、その場を共有できる優しさ。
順番を守り、譲り合うことのできる優しさ。

当たり前の日常のなか、私たちの国民性が垣間見れる、誇らしい朝でした。


〜無料で登録〜
おもてなし女子学院 <オンライン>